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服部半蔵(ソニー千葉)が不意に野球ボールを投げる。ザ・ブライド(ユマサーマン)が日本刀で真っ二つに斬る。
「座頭市」の名シーンを数々オマージュしたこのKILL BILLのエンドロールで
tribute to SHINTARO KATSUと流れるのを観た。
僕が勝さんのロックな生き様をリアルタイムで感じたのは、
あの世界の黒澤監督の映画「影武者」主演降板のニュースだった。
勝さんは降板後すぐに自身の俳優学校へ向かうと、心配する生徒たちの前で
「あの時は衣装を着ているからオレは武田信玄なんだよ、黒澤よりも信玄の方が偉いだろ?だから言うことを聞けなかったんだよ、しょうがない」
僕はその現実と非現実を見事に統一して、矛盾したものを同時に共存させる勝さんの世界に強烈に引き込まれてしまった。
78年イラン人からもらったアヘンと吸引器具で書類送検。
そして皆さんご存じの90年のホノルル税関に逮捕される「パンツはもうはかない」事件など
ダーティーな事件が多いけど、勝さんが知らない法律を作る方が悪いと思ったものでした。
そんなダーティーなイメージの勝さんだけど、
周りの人たちは勝さんを悪い奴とはきっと一人も思ってなかったんじゃないかと僕は思う。
赤坂のナイトクラブで三船、萬屋、祐次郎さんと4大スターで、
ブランデー2本をアイスペールの中にぶち込んで回し飲みしたり、無謀な活動ばかりを繰り返したものの、
オーナーは「普通の方と少々違いますのは、そういうことをしましても、店の誰からも非常に評判が良かった」
と言っていたり、森繁さんも以前事件後のインタビューで、
「世間はね、勝という男を誤解してますよ」と、机を叩き号泣しているのを見たこともあった。
キッチュな面も勝さんの魅力の一つで、徹子の部屋で「お嬢様はもうおおきいの?」との問いに
「もう、これですよ(ボインのジェスチャー)」と答えて軽く笑いをとると、
「毎日が全力ですよ、だから眠くないし寝るのが嫌いなんです。
眠いんだけど、もし死んだらずーっと寝てられるからね。生きてる時はまあずーっと起きてようと思って」
とさんざん前振りしたうえで、毎日どれだけ寝ているか聞かれるとあっさり
「8時間くらい寝てます」と見事に徹子の部屋をも勝さんワールド一色にしてしまったり、と。
ジョン・レノンは神は信じずに、ただ人として、愛と平和を願った。
勝さんも神は信じず、この空気の中にいるらしい「電気菩薩」を信じた。
美の立った世界でも通用するようなことをしておきながら、
わりと場当たり的なデタラメな世界で生き続けていっても、
全体を見ると「勝新太郎という世界」に統一されているかのように僕らに思わせる力がある。
役者勝新太郎は、「恐ろしい表情が出来ない」とNGを繰り返す若手俳優を車に乗せ、
真夜中の公道を180kmでアクション映画さながらに走り回り、しまいにはガードレールに激突。
大破した車の中で顔面蒼白の若手俳優に対し、額から血を流しながら勝さんはこう言った。
「それ、その顔だよ」
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| 勝新太郎 |
1954年奥村利夫は長唄の師匠で父親の杵屋勝東治から教わった三味線を捨て、京都の大映撮影所の門をくぐる。
音楽家杵屋勝丸から役者勝新太郎が誕生した。
60年「不知火検校」でブレイク。
「座頭市」をはじめ「兵隊やくざ」「悪名」そして「警視K」など数々の傑作を残す。
96年喉頭がんであることを記者会見で発表。記者たちが必死で止める中、「うまいんだよ」とタバコを一服。
97年6月生涯一役者、ロック魂は安らかに眠る。
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(文&イラスト: special source モリソン小林)
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