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「写真家」 僕がこれまでもこれからも憧れる響き。
思えば80年代前半。僕はある写真家に憧れて、初めて貯めた小遣いで一眼レフカメラを買った。
『PENTAXのsuper A』というやつ。
当時はまだCDもわずかで、アナログの晩年。ジャケットのアートワークには今以上のメッセージを伝えられた時代。
3つ年上の兄が聴いていたU2の「BOY」を気に入っていた僕は83年、
彼らの3枚目「WAR」で「写真家」アントンコービンに夢中になった。
「BOY」のジャケットの少年が「WAR」ではポーズは同じでも表情が一変。
少年というフィルターを通してコービンはU2の音、バンドとしての現在を生々しく伝えていた。
ブライアンイーノをプロデューサーに迎えた続く「焔」のジャケットも
廃墟を背に世界へと向かうU2の音と現在を見事に捉えていた。
そして86年。彼らの最高傑作「The joshua tree」ではまさに、
タイトルのヨシュアという旧約聖書でモーゼの後継者としてイスラエル軍を導き、
約束の地を取り戻した人物のもつ「静かなる気迫」に満ちたアルバムの音を見事に表現していた。
そのモノトーンの光と影のコントラストはまさに、彼らのメッセージそのものだった。
僕が本格的に「写真家」を夢見ていたその時、
3つ年上の兄は僕をぐうの音も出ないようにしてからPENTAXを自分のモノにした。
ほどなく僕は「写真家」の夢をあきらめ、
もう少し巾を広げて芸術というものを理解するために、美術大学を目指すことになった。
モノクロームだった世界に色を加えていくように。
89年僕が美大に入ったと時を同じくして、U2もコービンも表情が多彩になってカラーを持ち始めた。
僕にとって3つ年上の兄は、良く言えばヨシュアのような存在だったのかもしれない。
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| U2 |
1980年「BOY」でデビュー。
87年の「The joshua tree」がシングル2曲をNo.1に送り込み世界的に大ヒット。
アイルランドのカルトバンドがわずか数年で世界を制し、
2005年現在に至ってはロック界No.1セレブバンドとして君臨。
ジ・エッジの滝のようにほとばしるギター。
ミューレン、クレイトンはピンと張ったピアノ線のようで、決して消えることのない炎のようなボノのヴォーカル。
母国のねじ曲がった宗教/政治観にめげず常に「自由」を歌い、
荒削りなエモーションが溢れるサウンドは聖歌のように僕らの心に響き続ける。
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(文&イラスト: special source モリソン小林)
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