そして、火です。金属を扱うのに火の取り扱いは必須です。 ガスバーナー、コークス炉、酸素バーナーで炎を出したり、 また溶接や溶断するにも熱が出ます。 削るのにも火の粉が飛びますしね。 そこで、土間がうってあることが条件でした。 また、音が地面をつたって響くのを防ぐためにも、 土間が良いです。 知人の面白い話では、 大きな湖をはさんだ向こう岸の人のところまで 糸ノコの音が聞こえていたという...。 キュイーンという高音はシャットアウトできても、 糸ノコなどの低音の方が響いたりするみたいです。
そして、一階であること。金属、とても重いので。 材料の運びいれ、大きい品物の運び出しを考えて、 間口が広く、天井も高い、 出入り口がシャッターであることが条件でした。 ざっくりとそんな条件で、不動産屋さんに行ったり、 知人にあたったり、インターネットで探したりの日々。 目につく地域では、 埼玉の瑞穂、入間、朝霞、野火止、川口等。 東京では品川区、荒川区、大田区、 また神奈川は溝口、千葉では船橋や浦安市だったり。
坪単価を見比べ、あとは実際に行ってみて、 駅が近いか、運送会社が近くにあるか、 ホームセンターが近くにあるか、 その町の空気が自分は好きかどうか。 私の場合は緑があるか、公園があるか、本屋があるか、 散歩できるか、居酒屋があるか(笑)、 スーパーが近くにあるか等、 オプションですがそのあたりも大事に探しました。 生きている時間のほとんどの時間をその場所で暮らすので。 そこで無事条件にあった場所を見つけることが出来、 更には新築という運の良さ。 また以前から取引のある材料屋さんが近いということ、 近隣にものつくりの同業さんがいることがまた心強く、 自分としては最高の場所です。
箱が見つかったので、あとは中身、機械などの設備です! 私の場合、鉄、ステンレス、銅、アルミ、真鍮など、 使う素材や技法が幅広いので、 とりあえずは溶接機と切断機械と 穴あけ機械とコークス炉などの基本的な機械の他に、 単純に好きな機械を入れることにしました。 ケトバシと、バイブロシャーです。 現在の加工機械からすると大分シブい機械と言えます。 ケトバシは、フットプレスとも言います。 圧力は電気でも空気でも油でもなく、「人」なのです。 ケトバシ、蹴っ飛ばして、プレスをします。 鉄でできた重厚なかんじと形のかっこ良さと、 動力いらずのアナログのかんじが気に入って決めました。 クッキー型のような抜き型をつければ、 足で踏んだぶんだけ地金が抜けますし、 雄型と雌型をつければ、ある程度のプレス加工ができます。 中量生産に適しています。 今でも、サンプル作りやちょっとした加工に、 大きな工場にも1、2台残っていたりします。 ただ人力ですので人件費等の問題から、 すべて自動でできる電動の機械が今は主流です。 そこで出番をなくしたケトバシは、 わりと手に入れやすい機械といえます。 それでも昔は、ケトバシ一台あれば 家族みんなを養える、貴重な機械だったのです。
などなど、時代の流れと共に 人気も移ろいゆく機械たちですが、 昔の機械はなんだかごりっと、 どしんと構える丈夫な鉄っぽいかんじで、 かたちを見ているだけでもなかなかかっこいいのです。 「オレ、油まみれで働くぜ」と言っているような雰囲気です。
そんなこんなでハンドツールたちと機械たちを ちくちく集めて、築城。 あとは、作業机や道具を整理する棚、キャスター、 ロフト、工房の看板などを作って、 ちょっとずつ環境を整えていきます。 おまけでバーをつくったりしちゃったり...。 その様子を何回かに分けて リポートさせていただきたいと思っています。 よろしくお願いいたします。