ホーム > 読みモノ > FACTORY GIRL ファクトリーガール > 太田彩子





こんにちは。長い冬が去り、春が来て、嬉しいけれど花粉症の太田です。
今回は小さい作品をつくります。
金属って固くて冷たいイメージがあるけれど、こんなに柔らかくつくるし、仕上がりも有機的な印象にもなります。




鉛筆で、絵を描きます。
立体になったらどうなるかをある程度イメージしながら
描きますが、私の場合、かたちを先に決めすぎずに、
つくっていく過程で現れる素材の表情を
拾ったりしていきながらの制作となります。




スケッチと、厚み0.8mmの銅板と、
佐藤江利子さんのコラムでもとりあげられていた糸鋸です。




マーカーで、お花のかたちをけがきました。




金鋏と糸鋸を使って切り取りました。




炎をあて、固く締まった金属をほぐしています。
力を入れなくても手で折り曲げられる程の柔らかさとなります。



炎から離して、水のなかに放りこみました。
黒くなっている部分は、金属が酸化した膜です。
酸化膜は手や道具を汚したり、錆びさせたりします。




それを水で希釈した硫酸に5分ほどつけ込み、
酸化膜を洗い落とします。
すると銅がきれいなピンク色に。



こうして柔らかくしたものに、スジをいれていきます。
砂の入った袋の上に銅板をのせて、
鉄の棒(たがね)の先を銅板に押し当てて、
棒の頭を右のハンマー(おたふく)で叩き、凹凸をつけています。



スジを入れることで花びらが立ち上がって、
少し立体的になりました。



スケッチと見比べてみます。まだ印象が遠い...



先ほどのように加工をすると、
そのたびに金属が固くなるので、
再び炎をあてて、柔らかくします。
酸化膜で真っ黒。



そして酸洗いをして酸化膜を取り去りました。



もっとたがねを入れました。



それを再び火で柔らかくし、酸洗いをしました。



もっとたがねを入れました。



それを再び火で柔らかくし、酸洗いをしました。



壁掛けにしたいので、ひっかけるためのワッカを裏につけました。



いい立体感が出て来ました。



スケッチと見比べて、うん、イメージ通りだ。



それを硫化仕上げ(コラム #10参照)しました。



硫化仕上げの上に、緑青仕上げをしました。
黒の上に緑がのって、色に深みが増します。
壁にもしっかりかかりました。
完成です。



近くで見てみます。
不思議な色合いですよね。
好きな色です。



タイトルは「FLOWER」です。ひねりなく。
種から、葉が花が、伸びていくため根を張るため、
静かにゆっくり水を飲み朝を待つ、生命感をイメージしました。


studio MIRA (スタジオミラ) 太田彩子

業務内容 金属を主に用い、パブリックスペースのシンボル
となるような彫刻、装飾の提案、制作
MAIL ota@ayako-mira.com
URL http://www.ayako-mira.com
略歴
太田彩子(1981生)
2005 武蔵野美術大学造形学部
工芸工業デザイン学科 卒業
2007 東京藝術大学大学院修士課程鍛金専攻修了
studioMIRA設立


#21 2008.11.15 よみがえらせる人
#20 2008.10.15 久里浜の家
#19 2008.09.15 夏の宿題、自由研究
#18 2008.08.15 花、花、花
#17 2008.07.15 ギフト&トロフィー 展示会に向けて
#16 2008.06.15 築城〜途中編〜
#15 2008.05.15 フラワーデザイン
#14 2008.04.15 編む人
#13 2008.03.15 絵を、イメージを、実物とする2
#12 2008.02.15 アコースティックギター
#11 2008.01.15 卒業制作
#10 2007.12.15 金属の不思議
#09 2007.11.15 背中見せる人
#08 2007.10.15 背中見せる人
#07 2007.09.15 これからの人
#06 2007.08.15 南の太陽の下にいる人
#05 2007.07.15 金歯つくる人
#04 2007.06.15 現代手工業乃党
#03 2007.05.15 古い木造の建物のなかに、ピカピカのお仕事がありました
#02 2007.04.15 絵を、イメージを、実物とする
#01 2007.03.15 みんなのものつくり わたしのものつくり