|
ずいぶんと前になるのだけれども、
鍋蓋(おとし蓋)の商品開発のお仕事をさせていただきました。
これは松田美智子さん(料理家)の鍋料理の本の出版を
記念した鍋開発の一環で、友達の西村千寿さん(スタイリスト)
から話があって始まった事でした。
鉄、アルミ、陶器と様々な鍋にあう気にいった鍋蓋がない!
という話から、鍋蓋(おとし蓋)も開発しよう!
ということになり、木蓋の商品開発をして欲しいと
僕に話がきました。
正直なところ鍋蓋(おとし蓋)なんてつくった事ないし、
考えた事もない。勘弁してほしいなぁんて思いながら、
多少の興味もあったのでついつい安請け合い。
『イイッスヨ。ヤリマス。ヤラセテクダサイ。』
その後、鍋蓋(おとし蓋)について色々と考察と検証を
重ねていくと様々な事を知る事になりました。
鍋蓋のサイズはきっちりしたものでなくてもいいことや、
蒸気の逃げる場所があった方がよい事、
そして一番大切にしなくてはいけないことは、
ひっくり返すとまな板になること。
鍋料理に入れて煮る肉や魚に添える野菜のことを
俗に「ざく」というのだが、その「ざく」を切るまな板に
ならなければならないのである。
たいていの物は木が狂うのを押さえる意味と、
取手を兼ねて一本下駄を履かせているのだが、
なにぶん安定が悪い。
また、2本下駄を履かせているものもあるのだが、
それをぼくが新たにつくるのもなんだ。
という訳で試行錯誤の上、ひのきの木蓋が出来上がりました。
真ん中には蒸気を逃がすための丸い穴が空いており、
その穴に丸棒さしてふたを取り、
それを抜いてひっくり返せばざく切り用のまな板になります。
取手がとれるので安定してざくをきれるし、
使い終って洗った後、しっかりと乾燥させてからも、
しまうのに取手がじゃまにならないので場所とらないという利点がある。
今回の物は企画商品の為30枚くらいしかつくらなかったけれども、
嬉しくも即日完売、追加発注ありでした。
製作サイドの考え、ものつくりの現場から商品開発もできる
ことを確信できたことと、つくりやすいという製作サイドの考えも、
デザインに反映されるんだなぁと実感できたお仕事でもありました。
ものつくりの現場からやれることはたくさんある、
これからもどんどんこういったことに参加していきたい。
写真は丸タイプと四角タイプ。
|