ホーム > モノ作りの現場から > special source モリソン小林 #022



今回の展示会では、残念ながらステンドガラスの作品は出展出来ませんでした。
最近は、アンティークシャンデリアを使ったりするお店が非常に多くなっていて、
ステンドガラス等も目立つようになってきました。
だけどアンティークのものばかりにとらわれていて、無理に形の中にはめ込んでいるケースが多く、
ただステンドガラスを使って「なんとなく雰囲気出してます」的な感は否めません。
新しく特注で作ると高価だという先入観があるのも無理は無いです。
確かに高いところが多いです。というか、ほとんどです。
僕らの場合は専門でやってるわけではなく、まだまだ半人前のため安いです。
それでもそのお店に合ったガラスとプロポーションで、納まりも無理なく出来るのが利点です。
もしもオーナーさんで多少器用な方は、自分で作ってもいいですね。
自分のお店の中に、自分で作ったものがあるというのはなかなかのいい気分ではないでしょうか。

ステンドガラスで一番大事なのは、ガラスの美しさにとらわれて、too muchになってしまうこと。
シンプルな形でも、ガラスに負けてしまってはいけません。
もともと古くからの製法で出来ているため、新しく作ってもステンドガラス自体が歴史を持っているのです。
今回は、レストランのブラケットライトの製作工程を紹介します。
使うガラスはベーシックなスペクトラムガラスのSP100Wというものです。



まずはカットからです。
ガラスカッターはオイルを入れるタイプがいいですね。
失敗するとガラスが無駄になってしまうんですが、
最初のうちはそんなことは気にせずにいきましょう。
誰でも初めからうまくは行かないものです。
カットのコツは、ゆっくりときっちりとカッターを引くことです。
「キューウウウウ」という音が均一に響けば、
確実に切れ目が入っているはずです。



切れ目を入れたら、
カッターのエンドでガラスを裏から軽く叩きます。
切れ目に沿って叩くことで、ガラスがパカッと切れます。
慣れて来ると、あまり叩かなくても手で開く感じにすると
端からピキィーっという感じで切れてくれます。
まあ「切る」というより
切れ込みを入れて「割る」感じに近いですね。



次に「カッパーフォイル」という銅で出来たテープを
ガラスの4方に貼って行きます。
ステンドガラスはハンダづけのため、
銅や真鍮といった素材を主に使います。
テープはおよそ6mm幅。
ガラスが3mm厚なので外側に2mm出してつけて、
小口を貼って、内側に1mmほど貼る感じです。



いよいよハンダづけです。
いつもやっているTIG溶接とまったく同じ要領です。
その前に、付けたいところに「フラックス」という液体を塗ります。
これを付けないと銅とハンダの鉛がくっつきません。
そしてまず、直角を意識しながら仮止めをしていきます。



ハンダをゆっくり確実に溶かしながら付けて行きます。
熱を調節するコントローラーを
ハンダごてとコンセントの間に接続して、
溶け具合を調整しながら付けて行きます。

きれいに付けられなかったら、もう一度ハンダをなぞります。




あとは、壁に掛ける用の鉄金物に合わせて、
真鍮のCチャンネルを付けます。
この壁掛け金物は、別に鉄ではなく真鍮でも出来ます。
溶接は無理、という方は
真鍮のハンダづけならできると思います。




今回は5台製作しました。
シンプルな形で、ガラスも安いものを使いましたが、
なかなか上品ですね。




目黒にあるgreen gablesさんの依頼で、
ステンドガラスのドアも製作しました。



白金にあるGASA*という洋服屋さんでは、
いくつかステンドガラスを使ってます。
是非観に行ってみて下さい。




この度の展示会は「装飾主義」というテーマでした。
出来上がって来た作品の中で、
申し合わせた訳でもないのに
もう一つのテーマがあったように思います。



今回僕らが製作した「折鶴」は、
ちょうど展示会の期間中に沖縄の慰霊の日を迎えるので、
平和への「祈り」みたいなものをコンセプトに作りました。



delivery works and exitの神様のものや



savorの「合掌」なども「祈り」を感じました。



展示会前のゴールデンウィークに沖縄に帰って、
甥と海で釣りをしていた時、
沖縄の5月の太陽はとても強く、
木々の影もまた濃く地面に映っていました。
何気ない時間の中で、僕はふと思いました。

「太陽の光が強ければ、影は濃くなる」

僕らの作る作品はパッとした輝きを放つけれど、
その分近寄らせない影みたいなものも
映ってしまってるんだなあって。
沖縄はこの強いコントラストの中に海や風、
そしてゆる〜い人たちがあって心地良くて、
また来たくなるんですね。

僕ら現代手工業乃党は、僕らの持っている個性や、
作品の醸し出すコントラストの強さはそのままに、
僕ら自身の結束力を強めて、
僕らを支持してくれる人たちにも
連帯感が伝わって行くようになれば、
僕らの展示会やホームページに心地良さみたいなものを
感じられるようになるんじゃないでしょうか。

これからもっと僕らは絆を強めて行きたいですね。
みなさんも末永く見守ってみて下さい。




僕らのいる川崎や東京の空はグレーの日が多いですが、
今日の夕焼け空は、沖縄に負けずになかなかのものでした。




モリソン小林 (1969生)
2001年スペシャルソース設立。
金属、木工、張り、ガラス、樹脂、古布、陶芸と頼まれて出来ませんと言うのが嫌で、身に付けられる技術はすべて会得したいと日々精進を重ねてます。 デザイナーや建築家との共同作業も、感性を高めるために重要な要素になっています。
「iA」にて連載中のマンガ「マーヤさんの日記」もよろしくです。


#049 2008.10 連載マンガ「マーヤさんの日記」
#048 2008.09 KIDS WORKSHOP IN SUMMER 2008
#047 2008.08 しばらく彫ってみます
#046 2008.07 7月、天の川、聖なるもの、そして初めての彫像
#045 2008.06 西麻布ワインバー BROS
#044 2008.05 現代手工業という新語
#043 2008.04 antos
#042 2008.03 the park hunter plus
#041 2008.02 PESCADERIA 銀座店
#040 2008.01 黄昏のレンガ貼り/日本の教会をたずねて カトリック与那原 聖クララ教会
#039 2007.12 伝えられない、ものづくりに大切なこと
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#037 2007.10 干支は縁起もの/2007沖縄慰安旅行
#036 2007.09 愛媛からの指令
#035 2007.08 石の上にも三年
#034 2007.07 銀座にて
#033 2007.06 たくさんのご来場ありがとうございます
#032 2007.05 六月、紫陽花、梅雨、誕生日。そしてまた、展示会
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